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奪われた概念。

今となっては旧作ということになってしまいますが、黒沢清監督の「散歩する侵略者」という映画に、公開当時に魅了されました。松田龍平と長澤まさみがダブル主演ということもありますが、何しろ龍平が宇宙人に乗っ取られてしまった?という設定。で、宇宙人が人間を乗っ取って、地球人を知るために、概念を吸い取ってしまう。たとえば「家族」という概念を吸い取られた人間は、家族を思い遣ることのできない人格に変化してしまう、というのです。


概念?直訳すると、コンセプト。conceptっていえば、私たちが大好きな、広告制作の真ん中に位置するあれじゃないですか。コンセプトを吸い取られちゃったら、もう、広告制作なんてできないわけです。


もとい。映画は、さまざまな概念を吸い取られた人々の姿を描いていき、最終的には、宇宙人によって地球が侵略される間際、人間にとって究極的に大切なあるものを吸い取られてしまった長澤まさみがどうなってしまうのか!?というお話です。


宇宙人に吸い取られるかどうかは別として、私たちにとって、概念というものが以下に大切か、ということを再認識させられる、と言ったら真面目か!?というリアクションになりますが、概念というものがなんだか面白い言葉として私に響いたわけです。


3年ほど前に逝ってしまった私の師匠がよく言っていました。

「で、その企画のコンセプトはなんや?」

そう言われるたびに、この企画のコンセプト?なんやろう。

いや、そもそもコンセプトって何?若過ぎた私は頭を抱えたものです。

物事の根幹となる考え方なのですが、最近では、このコンセプトを表す言葉をタグラインと言ったり、コンセプトに基づく企業の理念をブランドプロミスと言ってみたり、そもそもその企業が目指す未来像をビジョンと言ってみたり、顧客に対してコミットメントしてみたり、さまざまな用語が交錯し過ぎて、とても複雑怪奇になっています。


とは言え、やっぱり根幹にあるのはコンセプト。そういえば最近何故だかあまり聞かなくなってきたなぁとも思います。

                      ことばる店主


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